民法では、いったん決められた親権者を変更することは、「子の利益のため必要がある」と家庭裁判所が認める場合に限って、認められることとされています(民法819条6項)。
このため、親権者の変更は、当事者間での協議だけで自由にできるわけではなく、必ず、家庭裁判所での調停や審判という手続を経ることが必要になります。
また、家庭裁判所では、児童心理の専門家である家庭裁判所調査官が、父母のいずれが親権者として適格なのか、専門的見地から調査を行うこともあります。
とはいえ、父母の間で親権者の変更について意見が一致しているのであれば、通常は、子どもにとっても父母の意見のとおりに親権者を変更するのが妥当であることが多いと考えられます。
そこで、家庭裁判所では、できるだけ調停での協議を優先する取り扱いがなされています。
そして、当事者間の合意が整わない場合には、「親権者を変更することが子どもの利益にかなうのか」という見地から、裁判官が判断(審判)を下すことになります。